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「収穫量」より「仕事の創出」を。20人の個性を輝かせる農福連携・30アールの最適解

農福連携、特に就労継続支援B型事業所において、農場は単なる「生産の場」ではありません。利用者一人ひとりの特性に合わせた職能を発揮し、社会との繋がりを実感する「就労の場」です。

20名という規模の受け入れを想定したとき、現場管理者が最も意識すべきは「収穫量」よりも「作業時間の創出」と「役割の多様性」のデザインです。

1. 理想の農地面積:目安は「30アール(3,000㎡)」

20名の利用者が「手持ち無沙汰」にならず、かつ「過密」によるストレスを感じない適切な広さとして、20〜30アール(約600〜900坪)を推奨します。

なぜ30アールなのか?

  • 20アールの場合:20人が一斉に作業すると、1時間程度でその日の仕事が終わってしまう可能性があります。「働く時間」を確保するには少し手狭です。
  • 30アールの場合:班を分けて「定植」「除草」「収穫」「片付け」を同時並行で行うのにちょうど良い広さです。

[ポイント]
最初から広大な土地を確保するのが難しい場合は、10アール(約300坪)から始め、「通路を広めにとる」「手作業中心にする」ことで作業密度を調整します。受入人数に合わせて、段階的に30アールまで拡張する計画が現実的です。

2. 20人の個性を活かす「年間作業ポートフォリオ」

「立ち仕事」「座り仕事」「力仕事」「軽作業」を組み合わせ、年間を通じて仕事が途切れない計画を立てます。

【春】3月〜5月:準備と希望の季節

主な作物:ジャガイモ、枝豆、レタス、夏野菜の苗植え

役割分担の例:

  • 土作り班:石拾い、マルチ(ビニールシート)張り。
  • 植え付け班:定植、支柱立て。
  • 周辺整備班:畝(うね)の成形、通路の草刈り。

現場の視点:苗を植える作業は「命を扱う手応え」があり、利用者さんのモチベーションが最も高まる時期です。

【夏】6月〜8月:収穫と戦いの季節

主な作物:夏野菜全般(ナス、キュウリ等)、サツマイモ(除草)

役割分担の例:

  • 収穫班:鮮度を保つための早朝収穫。
  • 出荷調製班:野菜を拭く、袋詰め、ラベル貼り(日陰での座り仕事)。
  • 除草班:雑草との戦い(最も人手が必要な工程)。

現場の視点:暑さ対策が最優先です。20名全員を炎天下に出さず、交代で室内(車内)の袋詰め作業を回すローテーションを組みます。

【秋】9月〜11月:実りと感謝の季節

主な作物:サツマイモ、落花生、大根、白菜、玉ねぎ(定植)

役割分担の例:

  • 収穫班:芋掘りなど、イベント性の高い「目に見える成果」を楽しむ。
  • 選別班:収穫物のサイズ分け、土落とし。
  • 次期準備班:夏野菜の片付け、残渣(ざんさ)の運び出し。

現場の視点:達成感を得やすい時期です。地域の方を招いた収穫体験など、外部交流の機会を作るのにも適しています。

【冬】12月〜2月:土作りと備えの季節

主な作物:大根・白菜(収穫)、玉ねぎ(管理)、次期準備

役割分担の例:

  • 管理班:防虫ネットのメンテナンス、追肥。
  • 資材メンテ班:支柱の洗浄、来期に向けた資材の整理。
  • 加工・企画班:保存野菜(干し芋や切り干し大根)の作成。

現場の視点:農閑期になりがちですが、「加工」という座り仕事をポートフォリオに入れることで、冬場の工賃維持と仕事の確保を両立させます。

3. 管理者が押さえるべき「現場デザイン」3つの秘訣

20人を効率的に動かすためには、面積以上の「工夫」が必要です。

1.「ユニバーサル通路」のデザイン
車椅子の方や歩行が不安定な方も安心して動けるよう、畝の間隔を通常より広く(1m程度)とります。面積あたりの収益は下がりますが、「20人が安全に働けるキャパシティ」を優先します。

2.「シェルター(休憩スペース)」の確保
30アールの農地があっても、20人が一斉に休める「日陰(テントや小屋)」がないと夏場の現場は維持できません。

3.「仕事の在庫」のキープ
予定より作業が早く終わった際、利用者さんを退屈させないための「いつでも手を出せる草むしりゾーン」や「資材整理」などの予備タスクを常に用意しておきます。