いちごを愛するすべての諸君。
葉が次々と増える株を見ると、順調だと思いたくなる。だが、その株に花や実が十分ついているだろうか。反対に、実をたくさんつけた株が、その後も元気に葉を伸ばせるとは限らない。
葉や茎、根を育てる栄養成長。花や実を育てる生殖成長。いちごは二つの仕事をしながら一粒を実らせる。今日はオアシスくんと、その釣り合いをどう見て、どう考えるかを学ぼう。

葉は大切だ。しかし、葉の数だけで果実の未来は決まらぬ。二つの成長を分けて考えよう。
栄養成長は、株の「働く体」をつくる
新しい葉、根、クラウンなどを育てるのが栄養成長だ。葉は光を受けて糖をつくり、根は水と養分を取り込む。果実を育てるためにも、まずこの体が必要になる。

だが、葉が多ければ多いほどよいわけではない。古い葉や混み合った葉が光を遮り、株の内側の風通しを悪くすることもある。ランナーの成長にも、株がつくった資源は使われる。葉の量ではなく、働き方を見たまえ。

葉は果実のための工場だ。工場を建てるだけで、製品が生まれるわけではない。

葉の枚数だけで安心せず、光が当たっているかも見ます。

花が出たら、株は葉を育てるのをやめるんですか?

いや、二つの成長は同時に進む。だからこそ、釣り合いが重要なのだ。
生殖成長は、花と実を育てる「次の仕事」
花芽をつくり、花を咲かせ、果実を育てるのが生殖成長だ。花や実は葉がつくった糖を使う。実を多くつければ、それを支える葉や根の働きも必要になる。

いちごの開花には品種ごとの性質に加え、日長や温度が関わる。花が少ないときに「リン酸だけ足せばよい」と決めつけることはできない。逆に花が多いという一場面だけで、株全体が順調とも判断できないのだよ。

葉と実は敵同士ではない。同じ株の仕事を分け合う仲間だ。

葉・花・実を、一緒に見ないと分からないんですね。

バランスが崩れたかどうか、どう見つけるんですか?

一つの数字ではなく、株のどこへ勢いが向かっているかを見るのだよ。
偏りのサインは、葉・ランナー・花・実を並べて見る
葉が旺盛に茂り、ランナーも増える一方で、花や果実の勢いが弱い。そんなときは、栄養成長へ偏っていないかを考える。窒素の供給だけでなく、品種、季節、日長、温度なども候補に置く。

反対に実の負担が大きく、新しい葉の伸びや株の勢いが落ちているなら、支える側との釣り合いを確かめたい。ただし、株の姿だけで原因を特定することはできない。同じ生育段階の株や、前週までの変化と比べて初めて、偏りが見えてくる。

偏りは一枚の葉に書かれていない。株全体の流れとして現れる。

写真を同じ位置から撮って、変化を比べるとよさそうです。

葉が茂りすぎたら、すぐ窒素を減らせばいいですか?

早計だ。葉の勢いと花の少なさが同じ原因とは限らぬ。
調整は「何を増減するか」より、理由を確かめることから
まず花芽形成に関わる季節・品種・温度・光の条件を見よう。次に葉の状態、ランナー、花房、果実負担、給液や排液、根の様子を合わせる。葉かきやランナーの管理も、何のために行うのかを明確にしたい。
いちごを生殖成長へ「切り替える」万能のつまみはない。生育段階と株の体力を見ながら、環境や養水分、果実負担を整える仕事である。一度にいくつも変えると、どの手当てが効いたか分からなくなる。

管理とは、株を無理に引っ張ることではない。二つの成長が働ける条件を整えることだ。

原因を確かめてから、一つずつ調整します!
まとめ|葉と実は、一つの株の両輪
栄養成長が体をつくり、生殖成長が花と実を育てる。どちらか一方だけを強くするのではなく、葉・根・花・実の流れを見て釣り合いを考えたまえ。

一粒を育てるのは、葉か実かという二者択一ではない。株全体がつながって働くことなのだよ。

これからは葉の勢いだけで喜ばず、花と実まで一緒に観察します!








博士、葉がたくさん出ている株は、きっと実もたくさんなりますよね?